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自分をデザインするクリエイター

【上京物語】〜プロダンサーへの道〜後編(完)

 


とにかく、繋ぎで何かしないとなぁ、、、

焦りと不安を抱き、どうにかならいかその派遣会社に相談しに行った。

「単発の仕事ならあるよ。」

と言われたので、

「直ぐお願いします!」

と告げ、後日現場へ向かった。

仕事内容は事務所移転の手伝い。僕は、壁となる部分のパネルを、トラックの荷台から運び出すという仕事を任せられた。

その際、軍手が必要と言われていたので、元々使っていた一般的な軍手をつけていた。

しかし、そこの責任者の方に、

「それじゃ危ないから、ゴムのしっかりしたやつにして!コンビニに売ってるから!」

と言われたので、直ぐに買いに行き、新しい軍手をつけて、

「よし、頑張ろう」

とパネルを持ち上げ、何枚か運び始めた時だった。。。

 

 

ぽたっ、

 


ぽたぽたっ、

 


気づいたら血が垂れていた。

「え、何だろ?別に痛みも感じないし、、、」

そう思って、パネルを一度降ろした時、、、

違和感を感じた。

よく見ると、自分の左手薬指と中指のつけ根が、手袋と一緒にパックリと切れていた。そこから血が垂れていたのだ。

パネルは、表面(見た目)では分からないが、予想以上に切れ目が鋭い作りだった。

血はどんどん垂れてきて、更に傷みを感じ始めた。

血の勢いが止まらず、少しパニックになりそうだったが、責任者の方が直ぐに対応してくれて、何とか落ち着くことができた。

とりあえず近くの階段に座り、休憩しつつ、何とか血も止まり、流石に続行不可能なので、帰らせてもらうことに。そして、直ぐ近所の病院へ向かった。

結果、数針縫うだけで済んだ。

ようやく家に帰って、落ち着いたころ、

「もしあの時、そのまま自前の軍手を使っていたら、、、」

そう思うと、ぞっとした。。。

この怪我をしたことにより、何もできない日が続いた。

もともとポジティブなタイプだが、その間、変に色々なことを考え始め、立て続けに起こる、負の連鎖により、自暴自棄が加速し、と言うより、精神的にかなり落ち込んでしまい、そして、初めて"死"を意識するようになった。

自分でも驚いた。こんな気持ちになるなんて。

流石にヤバいと思い、母親に電話した。また、当時付き合っていた彼女(福岡に住んでる)にも電話した。

もちろん、励ましてくれた。大丈夫だと。

話していくうちに、段々気持ちが落ち着いて、冷静さを取り戻していった。

数日間は何も出来ず、家に居たが、時間が解決してくれた。

「このままじゃいかん。」

と、バイトを探し始め、近所で固定のバイトを見つけ働き出すことになった。

それからは、全てが安定し、また、ダンスも復活し、充実した生活を送っていった。

新しいバイト先にも慣れ、気付けばもう年末。上京して半年が経とうとしていた。親睦も兼ねて忘年会をすることに。バイト終わりに、近くの焼肉屋さんで20名くらい?で、楽しい時間を過ごしていた。

その後、盛り上がって、

「皆んなで2次会行きましょう!!」

となり、僕も行きたいところだったのだが、今日は金曜日。唯一ダンスレッスンを受けている日。時間もまだ間に合う。迷ったが急いでレッスンへ向かった。

焼肉も食べ、元気モリモリでスタジオへ。

しかも、たまたまこの日は、僕が大好きな海外アーティストJTの楽曲での振付。もうテンションMAXで、踊りまくった。この日は本当に楽しかった!やっぱり2次会行かなくてよかった!笑、と。

そんな感じで、数日経ったころだった。

用事があって、夜に外を歩いていた。

携帯にメッセージが届く。

「連絡してくれ」

と、、、

しかも、相手は週一で受けているダンスの先生からだ。

突然何だろ?と、多少疑問を抱きながら、連絡をしてみた。

「この日は空いてるか?」

と、

「え、どういう事ですか?何かあるんですか?」

と、今考えれば分かることだか、当時は感が鈍く、純粋に聞き返した。笑

「だから、この日は空いてるか?」

と、また、同じように聞かれた。

流石に何かを感じ、頭の中で、猛スピードでぐるぐる考えた。しかし、その日は、既に福岡に帰る予定を組んでいたのだ。友人とイベントに出る為に。しかも飛行機のチケットも取っていた。。。

「うわー、どうしよ、、、」

とにかく素直に事情を話した。すると、

「福岡に帰りたいのか?」

と言われ、少し黙ってしまった。

もう、完全に察知した僕は、

「その日空いてます!!!(友人ごめんなさい!)」

とハッキリ告げた。

すると、

「某メジャーアーティストのLIVEでバックダンサーやらないか?」

まさかの仕事の話だった。

え?何で?俺が??

頭はパニックと同時に、喜びが溢れてくる。

「ありがとうございます!で、何で僕なんですか?」

と聞いてみた。すると、

「この間のレッスンで、踊りを見て、、、」

素直に嬉しかった。そして、あの時僕は、2次会に行かないで大正解だった!と、この時改めて思ったのであった。。。笑

 

これを機に、念願だった、東京でのプロダンサー生活がスタート。
とはいえ、中々一筋縄ではいきませんでした。失敗もたくさんしました。ですが、それ以上に素敵な経験もたくさん出来ました。

上京して、10年が経ち、プライベート含め、色んな事がありましたが、あの時、勢いで、何も考えずに、人生HIPHOPだ!って行動してよかったなと。今、心からそう思います。(準備は大切です笑)

人生はたった1度きり。

これからも挑戦して、たくさん考えて、行動して、悔いのない人生を生きていきます。


 


※この物語はノンフィクションです

上記仕事にてパシャリ

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